青春

 

 若い頃、何も考えず 知らず 手当たり次第に本を読んでいた

 その中には今も心の襞にへばりついてて 剥がれ落ちない言葉がある

 島崎藤村の『落梅集』にある

 『吾胸の底のここには

言ひがたき秘密住めり

身をあげて活ける牲とは

君ならで誰かしらまし』

 あの頃、将来 どんなことをして生きて行けばいいのか懊悩してた

 石川達三の『青春の蹉跌』の『蹉跌』に拘ってたり

  「蹉跌(さてつ)」とは「つまずき」

 いろんな言葉に躓(つまず)いていた

 この歳になって分かったことは

「捨てる神はあれど、拾う神は居らず」

 世を恨んでいるのではなく、自分の不甲斐なさを嘆いている

  今の心境は

 『捨てる紙あれば拾う紙あり』

                  寒山拾得翁🤗