五臓六腑

 漸く(六日ぶり)退院して来た

 早速、行きつけの魚屋(魚一)さんに行き肴を見繕って貰った

 「松葉蟹」に北海道虻田郡洞爺湖町の「雲丹」に「鮪」、それに大きな「帆立の貝柱」

 砥部焼の皿に鮪の刺身を盛り、傍らに雲丹を添える

 見た目には白の皿、その上に赤の鮪、黄の雲丹

 その横に松葉蟹の透明な刺身

 いつもは、萩焼の湯呑みに酒を注ぐが、今日は控えめにして八雲塗りの朱色の片口に注いだ

 ぐい呑みの酒を一口含んだ

 久しぶりの日本酒

 鼻腔に抜け、胃腑に流れ落ちた

 一気に「五臓六腑」に沁み渡る

 山葵を鮪に載せ醤油をつけて戴いた

 入院中の食事は実に味気ない

 やはり、日本人には醤油である

 雲丹、松葉蟹、次から次へと杯は進む

 貝柱の一個は炊き込みご飯の具材にして貰うつもり

 今日の酒は五臓六腑を沁み渡らせて脳に行き着いた

 陶酔を漂っている

 美味、美酒、美煙


    珍味翁