蕪村

 

 気取ったところがなくて、庶民の目線で いろんなものを見ている

 この句なら聴いたこともあるかも

「菜の花や 月は東に日は西に

 食べものの表現も味わい深さを醸し出している

 この「醸し」を出した句が

「寂寞とは 昼間を酢の なれ加減」

 酢は「鮨」、なれは「熟れ」

 近江の「なれ鮨」を漢字で書くと「熟鮓」

 学生を京都の山科で過ごしたから琵琶湖には よく行ってた

 初めて「鮒鮨」を食した折りは あの匂いに閉口しましたが、馴れる度に 旨味が鼻から口に広がり 酒が胃腑に流し込むと匂いが鼻を抜けるのが堪えられなくなる❗️

 寂寞は「じゃくまく」と詠みます

 寂寞とは人さまざまに、時により場所により感じる静けさの境地
 
 蕪村は、寂寞(静寂)と昼間(喧騒)の揺れる関係を鮒鮨の熟れ加減で表している

 陽が傾き夜との間、黄昏時が来ています

 「黄昏は 

   黄泉に向かう

    一里塚」

                   黄昏翁