手仕事

 

 漸く、塩野米松著の「失われた手仕事の思想」を読了

 利便性・安価を追求した結果、手間の掛かる手仕事が消えて行く過程が記されている

 昭和2〜30年代、家庭の中にあった諸々の物が一切合切無くなっていることに驚きを隠せない

 炭・箒(ほうき)・盥(たらい)・柳行李(やなぎこうり)等々

 あの当時は ほとんどが自然素材で作られていた

 炭焼き職人が山に入って木を伐り炭を焼き、20年経って また、その山で炭を焼く

 炭焼き職人が通る山道を葛布職人が通って葛を採る

 大体、ほとんどの手仕事職人の素材は山・河川敷で調達していた

 だから、人々は代々 そうやって山を守って来た

 「手」の付く熟語を調べていると ほとんど消え掛けているか、欠けている

 「手間」・「手当」・「手仕事」等々

 漁師には魚場を探す術は「山立て」があったが、今はGPS、それに魚群探知機

 「経験」と「勘」に頼って来た仕事が計器に代わっている

 僕の仕事も「経験と勘」が頼りだった手仕事

 そろそろ手仕舞の時期が迫って来ている

    手了翁