(続)日本料理 藤井 

 

 その日は朝から金閣寺龍安寺仁和寺を巡った

 仁和寺の御室櫻の秀麗さには歴史が感じられて思わず手を合わせた

 昼からは、京都の南座で「都をどり」を観覧

 春夏秋冬の場面があり、春には御室櫻が登り、夏には蛍が飛び交ふ場面では[梁塵秘抄]の「遊びをせむとや生まれけむ」なる言葉も歌われていた

 舞台上手では「地方(じかた)」と呼ばれる芸妓が黒紋付姿で三味線を弾き、唄をうたいます

 舞妓さんはもとより芸妓さんの「をどり」は色艶やか

 夜の部は哲学の道 近くにある

[日本料理 藤井]

最初に出されたのは湯呑みに三勺ほど入った出汁

 今夜の料理の基となる出汁の味をテイスティングさせてくれる

 料理人でありながら仕事人でもある

 兎に角、仕事が好きで「土佐醤油」や「ちりめん山椒」に「柴漬け」等、いろんなものを作っている

カラスミ」も薄塩で作っているから 何も挟まず そのままで戴いた

 仄かな香りが鼻を通り美酒とカラスミが相まって胃腑に流れ落ちた

 デザートは羊羹であったが櫻の花びらを載せていた

 この羊羹も手仕事

 カウンターの端には お客さまを迎える見事な「吉野の櫻」

 染井吉野とは違う真っ白な花びら

 羨ましいほどのお出迎え

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 「羊羹に

    吉野の櫻で

   頬化粧」

                    酒翁