白木蓮

 

立春を過ぎた頃からの本格的寒さ

店に来る道すがら余所の庭から見える「白木蓮」の鴬色の固い産毛に包まれた莟が少しずつですが膨らみ始めたような

吉田兼好が「徒然草」の中の一節に

『花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは。雨に向かひて月を恋ひ、垂れ籠めて春の行方知らぬも、なほあはれに情け深し。咲きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭などこそ見どころ多けれ』と

現代語訳

「花は満開のときだけを、月は雲りがないのだけを見るものであろうか、いやそうではない。降っている雨に向かって(見えない)月のことを慕い、すだれを垂らして室内にこもり春が移り行くのを知らずにいるのも、やはりしみじみとして情趣が深い。今にも咲きそうな梢、花が散ってしおれている庭などにこそ見るべき価値がたくさんある」と

木蓮の優美な姿の乳白色の花びら

咲き誇り それも瞬く間

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『放浪記』の作者「林芙美子」が

『花の命は短くて 苦しきことのみ多かりき』

しかし、僅かの間でも花を咲かせられた喜び

木蓮を想ひて

白頭翁